ドラマ「コタキ兄弟の四苦八苦」3話が最高すぎる。

コタキ兄弟の四苦八苦が毎話素晴らしいのは前提として、第3話は本当にすごかった。

暇なレンタルおじさん兄弟のもとにやってきた大学生男子が、恋人関係ではない好きな女の子からデートに誘われ(家で「耳をすませば」が見たいと言われた)、兄は家など早い!水族館派、弟はいちゃいちゃしたいし誘って来てんだから家だろ!派。

ここから兄弟のプレゼンによって一見ポップだが話の根底では「性的関係の合意について」の議論が交わされる。

合意についての曖昧さ、価値観の違いが浮き彫りになり、実は誠実にみえた水族館派の兄の方が合意について未熟で無知、弟は「全部相手に確認すればいい、相手が家に誘っても酒を飲んでもそれは合意ではない」と真っ当な意見を返す。

そこからモテ・モテない論に発展し弟が兄に「キモいんだよ!だから兄貴はモテない」と言ったのを聞いて男の子が「モテるのがそんなに偉いんですか?キモいとか言われるくらいなら僕は一生モテなくていい、デートもやめる」と言い出す。

予期せぬ展開に最後はずっと合いの手を入れていた喫茶店の店員さっちゃんが兄弟を一喝し「デートをやめるのはちがう、君をデートに誘った相手のことを考えて」と諭す。

主語(モテる・モテないどっちが偉いか等)が大きくなればなるほど匿名の意見(ネットや他人)に翻弄され、一番向き合うべき目の前の相手が見えなくなってしまっている危険性があることをやさしく指摘。

野木さんの脚本はよくネットでの匿名の発言がもつ危険性をドラマに落とし込むんだけど、今回はその匿名性の部分を、男の子にとって数分前に会ったばかりのレンタルおじさんという立場の主人公2人に担わせたのがすごい。

そして古舘さんと滝藤さんのお芝居が本当に上手い。

あと「性的合意」についての話は野木さんオリジナル脚本の超名作ドラマ「アンナチュラル」(主題歌が「Lemon」のあれだよ!!!)でも描かれています。

茶店を出る間際、男の子は過去に女の子から「キモい」と言われた傷が今も癒えずにいると告白。そしてラストに兄が職を追われた理由がネットに書き込まれた誹謗中傷だったことが判明。

軽々しく発している言葉が、受けた側には一生ついてまわる呪いになることを表している。

おい聞いてるか!言う側も言われる側も、私やあんたのことです!!!!

そしてこの二人のつながりがさすが!!!野木亜紀子先生!!!

あと脚本としてすごすぎる…と思ったのが兄に対する確執を、弟は口論の最中、感情が爆発したところで言うのかと思いきやグッとこらえて言わないところ。

脚本で“楽”をしようとするとき、感情の爆破ポイントで話の論点を変えてでも相手を黙らす為の核心につくことがあるけど、野木先生は絶対にしませーーーん!!!弟子にしてください!!!!!!!

あと野木さん脚本は時代を先取ることがある(脚本に書いたことが放送後に現実社会でも起こる)のですが今回は「耳をすませば」実写化発表のタイミングとドラマがドンピシャ。

劇中でアニメ版「耳をすませば」を連呼、高橋一生!中学生の高橋一生がー!と言いまくる最高の展開でした。

 

最後にフェチを晒すと一番グッときたカットはさっちゃんと男の子が握手しようとする手のカットの背景に常連のモブおじさんをしっかり入れ込んでいるところです!!!(あのカットだけ先にとったの!?おじさんずっといたの!?お疲れ様です!っていう裏側的な見方)

このドラマは山下敦弘監督作品なんだよ〜〜〜〜!!!!!

 

※えらそうに色々書きましたが一巡しか見れていないし、あくまで私個人の感想なので「オラ!こう見ろ!」って言ってるんじゃないから自分だけの「コタキ兄弟の四苦八苦」を楽しんでね♡ 

今なら3話がTVerで見れるよ!

来週も「コタキ兄弟の四苦八苦」がたのしみだーー!!!

 

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